借金をゼロにする代わりに、資産もゼロにする仕組みが自己破産です。
資産は自己申告ですので、申告しなければ資産を精算しなくてもいいのではないか。
そう考える人もいるかもしれません。
それでは実際のところ、資産を隠して自己破産は可能なのでしょうか?
ここでは自己破産における、資産隠しについての解説をします。
借金はなくしたいけど、資産は残したい。
そう考えている人は、このページをしっかり読んで、資産隠しができるのかどうかについて学んでおきましょう。

自己破産をすると、すべての資産を失うイメージがあります。
実際には完全にリセットされるわけではなく、ある程度の資産を残すことができます。
それ以上の資産を残したいからといって、資産隠しをする人がいます。
しかしどれだけ巧妙に隠したところで、まず間違いなく資産隠しが発覚します。
資産隠しがバレてしまうと免責不許可となります。
仮に免責が認められても、その後に資産隠しが発覚すれば詐欺破産罪で処分され、免責が取り消されることになります。
自己破産すべきか迷っている方へ
自己破産を行うと資産はどうなる?手元に残せるもの、残せないもの
まずは基本的なところから説明しましょう。
自己破産をすると資産はどうなってしまうのでしょう。
売れるものはなんでも手放さなくてはいけないのでしょうか?
部屋の中には何も残らないくらい、まっさらな状態からの再出発になるのでしょうか。
実は、自己破産をしても、すべての資産を手放さなくてはいけないわけではありません。
手元に残すことができる財産は次の5つです。
1 | 新しく取得した財産 |
2 | 差し押さえ禁止財産 |
3 | 99万円以下の現金 |
4 | 拡張された自由財産 |
5 | 破産財団が破棄したもの |
自己破産の申し立てを行った後に得られた財産に関しては、自己破産で回収されることはありません。
破産申し立てをするなら、給料日後よりも給料日前のほうが手元に残るお金が多くなります。
また、売ってもお金にならないと破産財団が判断したものも、手元に戻ってきます。
このように、意外と多くのものが手元に残ることがわかります。
自己破産をするとゼロからのスタートと言われていますが、実際にはややプラスからのスタートになります。
資産隠しは可能?自分以外の名義に移せば大丈夫なんじゃないの?
紹介したとおり、思ったよりも資産を残せることは理解できたかと思います。
それでも、持ち家などの大きな資産を手放さなくてはいけないことには変わりありません。
自己破産は個人の問題です。
自己破産する前に、家の所有権を配偶者に移すなどはできないのでしょうか。
絶対に資産隠しができないかというと、決してそうとも言えず、実際に資産隠しをしている人もいます。
ただしとても手の込んだことをして、法律の抜け穴のを熟知しているような人に限ります。
資産隠しをすることは容易ではないのです。
資産隠しにはデメリットしかない!?
そのうえ、資産隠しがバレたときのリスクが高すぎるため、ほとんどメリットはありません。
例えば持ち家は固定資産税や火災保険の支払いから所有者がわかりますし、車の場合は自動車税でわかります。
自己破産をするよりもずっと前に名義を変えているなら問題ありません。
しかし自己破産直前にそれらを行うと、悪質な資産隠しとして処分されてしまいます。
資産隠しがバレた時の処分とは。詐欺罪で処罰される可能性も
悪質な資産隠しは処分されると説明しました。
では、実際に資産隠しがバレてしまったときにはどのような処分を受けることになるのでしょう。
- 自己破産の免責不許可
- 詐欺破産罪
資産隠しが発覚した場合は、まず免責が認められなくなります。
単純な申告漏れでも免責不許可となることがあります。
自己破産をしたいのであれば絶対に資産隠しをしないようにしましょう。
自己破産できなければ、隠した資産が差し押さえられて返済に充てられます。
更に免責が確定した後に資産隠しが発覚した場合、詐欺破産罪として10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処されます。
これに加えて免責決定を取り消されます。
資産隠しはほぼ間違いなくバレる。隠し通すことはほとんど無理!
資産隠しがバレることが、いかにリスクが高いことなのか分かってもらえるかと思います。
安易な気持ちで資産を隠しておこうとしたものは、ほぼ間違いなくバレてしまうと考えてください。
うまく隠せばなんとかなるはず。自分だけは隠し通せる。そんな甘い話はありません。
たとえ隠し通しても、後からバレれば罰せられますので、気が気でない状態が続きます。
もし家を手放したくないというのであれば、個人再生での債務整理を行いましょう。
個人再生の場合は、資産を没収されることはありません。
ただし、資産が多ければ多いほど、個人再生での返済額が大きくなるので注意してください。
まとめ:資産隠しはあまりにもリスクが高すぎる上メリットはほぼゼロ!
自己破産前に資産を配偶者や親、子どもに移すことは破産法により禁じられています。
バレなければ自己破産で資産を回収されることはありません。
しかしよほど巧妙な資産隠しでなければ、まずバレてしまうと考えておきましょう。
財産隠しが発覚した時にもちろん自己破産が認められることはありません。
うまく免責許可が出たとしても、その後に財産隠しが発覚した場合には、詐欺破産罪で処分されるだけでなく、免責が取り消されます。
そこまでして財産を隠し通すメリットはありません。
自己破産をしなければいけないほど追い込まれていると、冷静な判断ができなくなることがあります。
それでもきちんと正しい選択をするように気をつけましょう。
自己破産したくないけど、借金は減らしたいなら