自己破産の申し立てや書類作成を弁護士に依頼すると、数十万円の費用が発生します。
そんなお金があったら自己破産なんてしない。そう思う人も少なくないですよね。
ところがインターネットで調べると、自分で自己破産をするというような話も見つかります。
本当に自分で自己破産できるなら、かなり出費を抑えられますよね。
ここでは自己破産を自分で行うことについて、そのメリットやデメリットも含めて詳しく説明をします。

自己破産の費用を抑えるために、弁護士に依頼せずに自分で自己破産をすることは可能です。
ただし、弁護士に依頼するよりも、より多くの手間と長い時間がかかります。
そのため時間に余裕のある人でなければ、あまりメリットを感じられません。
自分で自己破産をする場合は、何度も裁判所に足を運ぶことになります。
資産があるときの管財事件となった場合は、少額管財事件にできないため、弁護士に依頼するのと変わらない費用が発生することもあります。
自分で自己破産を行うのは、本当にお金がない人や、人生経験として自分でやってみたいという人以外には適していません。
自分で自己破産すべきか迷っている方へ
自分で自己破産する場合と、弁護士へ依頼する場合との違いって?
弁護士に自己破産の依頼をすると、書類作成から手続きまですべてを代理人という立場で弁護士が行ってくれます。
裁判所への出頭などで、どうしても本人が出なくてはいけないこともあります。
それらを除けば、ほとんど何かをする必要はありません。
- 破産申立書の入手、作成
- 自己破産申立の申請
- 債権者への通達
- 資産がある場合は管財事件になる(少額管財事件にできない)
弁護士に依頼せずに自分で自己破産を行う場合は、上記のような作業が発生してしまいます。
簡単に言えば、費用を抑えることができる代償として手間と時間がかかってしまいます。
債権者への連絡や、手続きや資料集めもすべて自分で行う必要がある
弁護士は自己破産の申し立てに慣れていますから、すべての作業をスムーズにできます。
しかし、自分で行う場合はそうもいきません。
例えば、裁判所まで破産申立書を貰いに行くだけでも、半日かかってしまいます。
申請を行っても書類に不備があれば、きちんと整うまで受理してもらえません。
債権者への連絡、続く取り立て、管財事件になるとお金もかかる…
それ以上に面倒なのは、債権者への連絡です。
弁護士に依頼する場合は、依頼した時点で受任通知が送られて、すぐに借金の催促が止まります。
自分で行う場合は、そうした債権者への連絡も自分で行わなくてはいけません。
また持ち家などの資産がある場合は、少額管財事件ではなく管財事件になってしまいます。
破産管財人に支払う費用が大きく膨れ上がってしまい、結局弁護士費用と同じくらいの出費になることもあります。
この場合は、手間と時間だけでなくお金もかかるという状態になります。
自分で自己破産するメリットとデメリット。手間と時間か、費用を選ぶか
弁護士に依頼する場合との違いの中で、メリットとデメリットについて少し触れています。
ここではそれぞれについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
メリット
- 費用が安くなる
自分で自己破産を行うメリットは、「費用が安くなる」、たったこれだけです。
あえて無理にでもメリットを考えるとするなら、いい人生経験ができるというくらいです。
弁護士費用を払うだけのお金をどうしても用意できないという人や、時間だけはあるという人に向いています。
デメリット
- 手間と時間がかかる
- 資産があると出費が大きくなる
- 免責が認められるまで不安が続く
- 免責が降りない可能性が高くなる
- 債権者からの取り立てが止まるまで時間がかかる
これでもかというくらいデメリットがありますが、本来なら専門家が行うことを自分でするわけですから、簡単にはいきません。
もちろん、自分ひとりでは絶対にできない、というわけではありません。
粘り強く地道に行えば、自分で自己破産することは可能です。
それでも、弁護士が間に入る場合よりも免責が降りにくくなることは間違いありません。
免責が降りるまでは、本当に大丈夫なのか?という不安を抱え続けることになります。
弁護士というのは作業をしてくれる代理人というだけでなく、悩みを聞いてくれる大切な相談相手でもあります。
自分で行う場合は、難しいことを相談できる相手もいませんし、アドバイスももらえません。
いつもこれでいいのかなと悩みながら判断をしていくことになります。
弁護士に依頼しないときのデメリットとして、一番大きいのはこの不安感かもしれません。
また、債権者への連絡が遅れることにより、借金の取り立てが止まるまでに時間がかかります。
弁護士に依頼すれば、すぐに取り立てが止まることを考えると、少しの期間とはいえ、取り立てが続くのは精神的に厳しいですよね。
会社勤めしながら自分で自己破産する難しさ。平日昼間に裁判所へ足を運ぶ必要アリ
自分で自己破産を行うには手間と時間がかかると説明しました。
ここでは、会社勤めをしている人が行うのがどれくらい大変かについても紹介しておきます。
裁判所に足を運ばなくてはいけないタイミングは下記のようになります。
1 | 破産申立書の入手 |
2 | 自己破産申立の申請 |
3 | 裁判官との面接 |
4 | 管財人面接(同時廃止事件) |
5 | 免責審尋(管財事件) |
6 | 債権者集会(管財事件) |
弁護士に依頼したときには1~3は弁護士が代理で行ってくれます。
4~6は弁護士に依頼しても出頭が必要ですが、いずれも弁護士が同伴してもらえます。
反対に自分で自己破産をする場合は、1~3も自分で裁判所に足を運ぶことになります。
裁判所はもちろん平日しか開いていませんので、平日に会社を休んでこれらの手続きをしなくてはいけません。
会社に自己破産をすることを伝えていればまだ休みやすいかもしれません。
しかし会社の人たちに内緒で自己破産をしようと思うと、これだけの日を休むのは大変ですよね。
申請のための書類作りや、債権者への自己破産の連絡なども自分で行いますので、どれだけ時間があっても足りません。
自分で自己破産をすることは、粘り強く行えばできないことではありません。
しかし、毎日会社勤めをしている方にはオススメできない方法であると言えます。
まとめ:自力で行う自己破産はデメリットが多め。会社勤めの方は弁護士に依頼がベター
自分で自己破産をすることで、自己破産の費用を安くすることができます。
実際に自分で自己破産の手続きを行っている人もいますが、そのほとんどが手間と時間をかけています。
申請書1枚でも不備があると受け取ってもらえませんし、用紙をもらうだけでもいろいろと手順があります。
自分で自己破産をするには、費用がかからないということと、手間と時間を天秤にかけて行わなくてはいけません。
明らかに免責が認められるケースで、しかも資産がなく同時廃止になるような状況でなければ、自分での自己破産のメリットはほとんどありません。
特に会社勤めをしている人は、何度も仕事を休まなくてはいけなくなります。
安定した収入があるのであれば、弁護士費用を分割払いにしてもらえることもあります。
無理に自分で行おうとせずに、弁護士に依頼するようにしましょう。
自己破産したくないけど、借金は減らしたいなら